「願わくば、兄妹喧嘩とかしたいかも? リィともあんちゃんともね。くっだらないケンカして仲直りすんの。それが今の俺の夢」
 ふたりはすごくびっくりした顔をした。きっと、このふたりはそんな大喧嘩をしたことなんてないだろう。だからさ、俺も交えて初ケンカとかしようよ。そんで、ケンカ記念日とか盛大に祝ったりしない?
「待ってるからね? リィが目ぇ吊り上げて俺に文句言ってくる日を」
「あ……それ、俺も便乗したい」
 ほらほら、あんちゃんも乗ってきた。
 リィは俺とあんちゃんを交互に見る。そんなとき、俺とあんちゃんはにこりとしか笑わない。
「もっと口にしなよ、思ってること。少なくとも、俺とあんちゃんは言われて困るなんてことないと思うよ?」
「そうそう。相手を傷つけようがケンカしようが、どんなことがあっても家族であることには変わりないし」
「切ろうと思ってもそうそう切れないもの。それが家族でしょ?」