ほらほら、リィも参戦なさいって。
「リーィ? ここは暗くなるところじゃないでしょ?」
「そうそう。唯は怒られて喜んでる奇特な人間なわけだし」
 何おぅっ!? 奇特なのは十キロ三十分で走るとか言ってるあなたよ、あなたっ!
「でも……」
 リィのか細い声に耳を傾け、心も傾ける。
「心配されて叱られるのってさ、幸せなことだと思うよ。親の愛情を確認したくてわざとそういう問題行動をとる子どもがいるっていうけど、それ……わからなくないかなって思った。俺は今幸せ。過去が不幸だったとは思ってないけど、今、幸せなんだ。……幸せ、なんだよ」
 リィ、この幸せはリィもいて成り立ってるってことを知って?
 もっと俺に踏み込んでよ、あんちゃんみたいにさ。それと、もっと俺に踏み込ませて?
 リィと目が合うと、ニッと口角を引き上げて見せる。