さすが、毎分三キロは伊達じゃない。
「久しぶりに本気で走ったっ」
 最後は、タッタッタ、と音を立てて停止。それはさながら、車を停車させるときのポンピングブレーキのよう。
 その場で一度屈伸をすると再度歩き始める。
 リィはそれを知っていたのだろう。気づけばあんちゃんの隣に並んで歩いていた。
 自分だけが置いてけぼりをくらっている状況にびっくり。
 慌ててふたりに駆け寄り、リィを真ん中に三人手をつなぐ。
「で? どのくらい走ったの?」
「十キロには及ばず。……九キロ弱くらい?」
「爽やか百パーセントでできてます」。そんな笑顔が返され、気分は追撃された戦闘機。
「ぐはっ……御園生唯芹はあんちゃんを超人と認識しました」
 もう、数字に換算するのがバカらしい。こうなったら超人一括りで十分。