外は予想以上に寒かった。
 転んだら痛いだろうな、なんて思いながらコンクリの縁石を平均台のノリで歩く。
 とくに段差があるわけじゃない。ただ、「ここしか歩かない」と決めて歩くだけ。
 それは意外と楽しく、平地なのにバランス感覚が問われる何か。
 ちょっとふらついてバランスが崩れたところでごまかしジャーンプ。
 どさくさに紛れてリィの手を取る。
「幸倉に帰ってきたから日課が再開できるね」
 リィは嬉しそうにコクリと頷いた。 
「待ち合わせってどこ?」
「あそこ……」
 リィが指差す方を見ると、前方からあんちゃんが走ってくるところだった。
「うっわ……スライドでかっ」
 前方にいたはずの人間が、あっという間に通り過ぎた。