いてもたってもいられず、リィの頬やおでこに自分の手を押し当てる。と、
「あったかい……」
 珍しく、体重を預けるように額を押し付け返された。
 もう――何があったんだよ。
「あ……手はあたたかいけど、心もあたたかいのでご心配なく」
 頭の中と口から出てくる言葉が一致しない。自分が器用だなって思う瞬間。
「誰も手があたたかい人は心が冷たいなんて思ってないよ」
 リィの「なにそれ」って感じの笑みに少しだけほっとする。無理に笑った笑顔じゃないと思ったから。
「逆はよく聞くじゃん」
 そんな会話をしていると、碧さんから声がかかった。
「あと二分もすれば溜まるわ」
「ありがとう」
 制服を着替えるだろうから邪魔かなって思ったけど、俺はリィから離れずリィの部屋に入った。すると、リィは着替えを取り出し、制服のままバスルームに行く用意を始めた。