なんかアレですね。まるで「隠しごとはしてませんよ」って先手打たれた気分。
 いつの間にこんなことできるようになっちゃったかなぁ、まったく……。こんな成長は嬉しくありませんよ。
 俺が何も言えないでいると、リィの視線は碧さんに向いた。
「お母さん。お風呂、入ってもいい?」
「大丈夫なの?」
「うん……お湯に浸かってあたたまりたい。このままだとなんだか戻しちゃいそうで……」
「吐き気がするの?」
「今は痛いだけだけど……」
「そうね……冷えると翠葉は戻すものね。すぐに用意するわ」
 碧さんはパタパタとバスルームへ向かった。
「熱はない?」
 さも冷たそうな皮膚、おでこに自分の額をこっつんこ。
「っていうか、リィ……。おでこまで冷たいよっ!?」 
 これ、間違いなく歩いて帰ってきたよね。小ガッコで何があったんだか……。