光のもとでⅠ

 きっとどのくらい蹲っていたかなんてわからないのだろう。
「……友達が出て行ってから十分経ってる」
「っ……」
 彼女の細い肩が揺れた。
 話を聞いていたかどうかはあとにして、今は――。
「用務員室で原島さんがお茶の用意をしてくれてる。鍵は戸口の脇にかかっているから出ておいで」
 翠葉ちゃんは微動だにしなかった。ただ、俺のことを食い入るように見て座っていた。
 ……迎えに行くか。
 小屋の裏に周り、ドアを開ける。自分の身長より高さの低いドアをくぐり、
「ほら、ゆっくり立って?」
 彼女の前に手を差し伸べたけど、その手をじっと見るだけで手を伸ばしてはもらえなかった。
 きっと、この手が司のものであっても、今の彼女には手を伸ばすことはできないのだろう。