光のもとでⅠ

 なんでこんなところに居合わせちゃったかな。唯のせいにしてもいいかな。
 聞かなかったことにして引き返すという手もあるけど、今さら……だよね。
 これはある意味きっかけなのかもしれない。意図して俺が何を言うわけではない。そういう状況が揃っていただけ。
 なんとなく、司に対する言い訳じみたものを心に並び立てる。
 彼女が小屋から出てくるのを待っていたけど、五分経っても十分経っても音という音は聞こえてこなかった。ウサギが動く音すら聞こえない。
 小屋には風除けになるものもあるが、何分気温自体が低い。これ以上の長居は彼女の身体に障るだろう……。
 俺は小屋の表に回ろうと一歩を踏み出した。そのとき、
「寒いのは……心かな」
 ポツリと呟かれた言葉が胸に突き刺さる。