「じーさんに会う前に、何かひとつくらい解決してたほうがいいだろ?」
 言うと、司は大仰にため息をついた。
「そういうの関係ないから……。俺だってあんな翠を見ていたいわけでも、放置しておきたいわけでもない。ただ――選んでほしいだけだ。翠の意思で」
「……現状、選べる状況にないだろ? 翠葉ちゃんが一歩も動けなくなってるのは司だってわかってるだろ?」
 司は小さく零した。だからだめなんだ、と。
「これも前に言った。俺は選んでほしいだけだって。秋兄と同じ場所に立って、そのうえで翠に選ばれたい。そこに誰かの言葉とか意思とか、何も介在してほしくはない。それが秋兄の言葉ならなおさらに」
 釘を刺された。俺が翠葉ちゃんに会って何を言おうとしているのか、すべて読まれていた。