動物の鳴き声にいくらか意識を持っていかれながらスケッチを続けていると、視線を感じて顔を上げた。
 そこに立っていたのは翠葉ちゃんだった。
「……ウサギのスケッチ?」
 訊かれて私はコクリと頷く。
「翠葉ちゃんは……?」
「私は……動物を見にきたの」
 直感が働く。少し前に性教育を受けたからかな、と。外部生の翠葉ちゃんはきっとそこから習うはずだから。
「入ってくる?」
 翠葉ちゃんは悩んだ末に、
「外で少し見てからにしようかな……」
「怖くないよ? たまに引っかかれたりするけど……」
「……引っかかれるんだ?」
「猫と同じ。嫌な抱かれ方されたり、かまわれたくないときは嫌がる。そのくらい……」