「今日、部活行く?」
 希和に訊かれ首を振る。
「部活には行かないけど、帰りに初等部のウサギたちに会いに行こうと思ってる」
「そっか。寒いから風邪ひかないようにね」
「うん。じゃ、また連絡するね」
 そんな会話をして教室を出た。
 今日はお弁当も持ってきていないし、とくに長くスケッチするつもりもなかった。
 ただ、久しぶりにもふもふした動物を描きたくなったのだ。
 初等部まで駆け足で向かい、用務員室を覗くと原島さんが気づいてくれる。
「七倉さん、いらっしゃい。今日もスケッチかな?」
「はい。ウサギ小屋の鍵借りてもいいですか?」
「いいよ」
 原島さんは鍵を取りに行くと、「そうだ」と振り返った。