「どうしよ……これを黙ってるのはフェアじゃないよな」
 藤棚に着いたのは俺が一番で、次に海斗と立花がやってきた。
 最後の簾条が揃うと、弁当を食べながら本題に入る。
「ちょっと褒めてよっ。私何も訊かなかったよっ!? 本当は何があったの? どうしたの? なんで話してくれないの? ってにじり寄って白状させたかったんだけどっ」
 立花のがんばりに胸がチクチクと痛み、
「よしよし、よくがんばった。ま、俺も何も訊かなかったけどな……」
 海斗の言葉に罪悪感がドドンと降ってきた。
 俯きがちに視覚情報をシャットアウトしていたこともあり、俺と同じ心境の人間がいることにはすぐに気づかなかった。
 俺が口を開いたのと同時、簾条がカミングアウトした。