「見ない優しさ」はどこまで、いつまで続けなくちゃいけないのか、俺にはわかりかねて今日を迎えてしまった。
「俺さ、助けてって言われたとき、本当に嬉しかったんだ。でも――御園生、俺たちが四月から築いてきたものってなんだろうな?」
 言うだけ言って、御園生の顔を見ることはできなかった。自分の言った言葉で傷つく御園生を見たくなかった。だから、俺は言い逃げみたいにその場を立ち去った。

 終業式という形だけの全校集会にホームルーム。それらが終わると、俺は中庭にある藤棚へ向かった。
 集まるのは御園生以外のいつものメンバー。
 みんなそれぞれ思うところはあって、それでも御園生から話してくれるのを待つと決めた同志。
 けど――俺はひとり先走った感が否めない……。
 たぶん、朝の会話は御園生を精神的に追い詰めた。