終業式の日は朝練がない。それでも余裕をもって早くに来た俺は、教室に御園生の姿を見つけた。
 なんてことのないシチュエーション。
 御園生が誰より早くに登校してくることも、窓際の席から外を眺めていることも。なんら珍しいことじゃない。
 ただ、ひとり言を聞いてしまった。妙に気になるひとり言を。
「終わる、のね……」
「何が?」
 驚かすつもりはなかったんだけど、結果、ひどく驚かせてしまった。
「悪い、驚かせた?」
 御園生は繰り返し頭を上下に振った。
「で、何が終わるって?」
「あ……二学期」
 言われたことに納得する。頭をポリポリと掻きながら、
「確かに……今日で終わり、だなぁ。でも、それがどうかした? 成績の心配はする必要ないだろ?」
「あ、うん……成績は――自分がやれることはやったと思うから」
 そうは答えるのに、御園生は浮かない顔をしていた。