俺、何もできなかったじゃん――。
 その場にいてくれればいいって言われたけど、俺、本当にそこにいただけで、何もできなかったじゃん。
「何やってんだ、俺――」
 頼ってほしいって思ってるのに、結局何もできなかった自分が妙に情けなくてやるせない。
 最後、御園生に言った言葉は御園生をフォローするためのものじゃなくて、自分をフォローしたにすぎない。
「情けな……」
 次に御園生がSOS出してくれたときにはもっとまともな対応ができるようになりたい。次こそは――。
 自分の感情に区切りをつけ、海斗が待つエレベーターホールへと向かった。