きっと心からのSOS。今、ここにいる俺にしか頼めないこと。
 自分に何ができるのかなんてわからない。概要を知らないわけだから。でも、助けを求めてもらえたことに意味があった。
「助けて、って初めて言われた」
「……え?」
 御園生は意識してないけど、俺は意識せずにはいられない。
「助けて、って初めて御園生に言われた。……だから、理由教えてくれなくても助けるよ」
 御園生の戦場はきっと家の中にあるのだろう。なら、そこについていく。でも、願わくばどうしたらいいのかは教えてほしい。
「どうすれば助けられるの? どうすれば助けることになるの?」
 返事は複雑を極めていた。
「ただ、いてくれるだけでいいの」
「それだけでいいの?」
 エレベーターの扉を向いていた御園生は頷き、そのあと俺に向き直って頭を下げた。