私たちは人の行き来が少ないベンチに座った。途中、ツカサがあたたかい飲み物をふたつ買い、ひとつは私の手の中でカイロの役割をしている。
「話って?」
 待ち伏せていたのは私なのに、改めて訊かれると困ってしまう。
 ただ、好きだと伝えたいだけなのだ。
 こういうとき、前置きにはどんな言葉が相応しいのだろう。
 ヒュルル、と冷たい風が吹き抜けていく。けれど、不思議と寒いとは感じない。
 ただ、隣にツカサがいるだけで、何もかもが違うように思う。
 人気がないところでは、より相手の存在を強く感じるものなのだと知った。
「翠……時間がかかるなら――」
「っ……好きっ」