数十メートル離れたところから目が合うと、ツカサはひどく驚いた顔をした。
 それでも、止まることなくこちらへ向かって一定の速度で歩いてくる。
「何……」
「話、する時間、もらえる?」
「……かまわない。……カフェでも入るか」
 カフェに向かって歩き始めたのを、コートの袖を引張って引き止めた。
「ごめん……。カフェで話したいような内容じゃないの。梅香苑のベンチでもいい?」
「寒いけど?」
「大丈夫」
 答えてはっとした。
「ごめんっ、ツカサが寒いっ!?」
「いや、俺は大丈夫だけど……寒さは身体に堪えるんじゃないか?」
「……私は大丈夫」