寒さがいっそう増した部室棟前にいたけれど、さすがにここで待ち伏せするのはどうかと思う。
 ほかの部員もいるだろうし、運動部全体がこの時間に終わるのだとしたらたくさんの人が引き上げてくることになる。
 そんな場所で待つのは得策とは思えなかった。
 少し考え、ツカサが帰るルートを思い出す。
 ツカサは大学の敷地内を突っ切って藤山の自宅へ帰るはず……。それなら、私道入り口にある警備員室の近くにいれば会えるはず……。
 私は踵を返し、大学の敷地へ引き返すことにした。