「秋斗さんにはきちんと話せたけれど、ツカサにはまだ会ってもいなくて……」
「それで今日、なんだね」
「はい……。携帯じゃなくて、ちゃんと会って話したくて――」
「うん、そのほうがいいよ。ちゃんと目見て好きって言ってやんな。そしたら留学もやめるかもしれないじゃん。第一、留学するとか私たちに一言も知らせてないことがムカつくしね」
 どうやら、ツカサは留学の話は誰にも話していないようだった。でも、そんなことすらツカサらしいと思ってしまう。
 きっと誰にも言わず、新学期が始まったら何事もなかったかのように姿を消すのだろう。想像ができるだけに悲しい。
「そんな顔しなくたって絶対大丈夫だってば。だって、司、絶対に翠葉のこと好きだもん」
「……それはどうでしょう。……私、長らくツカサの好意に甘えてしまっていたので――。心底呆れられているんだなって実感しましたし……。それに、一度決めたことをこんなことで取りやめにするような人ではない気がします」