朝六時の道場とはどれほど寒いのだろうか。きっと、開け放たれた道場は外にいるも同然なのだろう。
 板の間を想像するだけでも寒そう……。
 でも、その中に凛と立つツカサの姿は容易に想像ができた。
 ツカサは袴姿がよく似合う。足を肩幅に開き、大きな弓を張力の限界まで引き、的を射るような目で見つめる。
 弓と矢を扱う一連の動作が何かの儀式のように思えた。ひとつひとつの所作に名前や意味があることを教えてくれたのは秋斗さんだった。
 ツカサのそれは息を呑むほどに美しく、気づけば引き込まれていた。
 男の人を見てきれいだと思ったのは初めてだったかもしれない。
 会いたい――ツカサに、会いたい。