光のもとでⅠ

「薬が効いているから痛くないのであり、眠くなるんです。薬が切れれば自然と目は覚めますし、痛みも出てきます。とても当たり前のことだと思いませんか?」
 思うけど――なら、どうしてその薬を使うというのだろうか。
「御園生さんが受けてきたのは血中に入れる注射ですが、私が使おうと思っているのは経口薬です」
 飲み、薬……?
「飲み薬ならば病院へ来る必要もありませんし、決まった時間に薬を飲むことで血中濃度を維持継続させることが可能です」
 言われていることが理解できないわけではない。ただ、そんな美味しい話があるわけがない、と思ってしまう。
「ですが、副作用はあります。最初は注射のときと同じように眠くなったり眩暈が生じます。ほか、吐き気、口の渇き、便秘などが報告されています」
 やっぱり美味しい話には裏があるのだ。