湊先生と唯兄、私の車椅子を押す蒼兄が続き、最後尾にも黒服の人がふたりいる。
 警護されていることを実感するのは紅葉祭以降初めてのことだった。
 空港内はそれほど混んでおらず、それでも全く人がいないわけでもなく、あちこちに人が点在していた。人数にしてみたらそれなりにいるのだろう。けれども空港という場所が広すぎてそれを感じさせない。
 初めて来た空港をじっくり見る暇もなく、あれよあれよという間に秋斗さんが貸しきっているラウンジの前まで来てしまった。
 自動ドアの前には秋斗さんの警護についているであろう人たちがふたりいる。
「……先生っ」
「何?」
 自動ドアを前に湊先生が振り返る。
「ここからは、ひとりで行きたい……」
「…………」
「きっと長くはかからない。話が終わったらすぐに帰るから……」