「だが、スイハの外出許可を俺が出すわけにはいかない。今は臨時で紫先生が診てくれてるとはいえ、おまえのメインドクターは姫さんだろ? それに……この脈――」
 先生がパソコンで見ていたのは私のバイタルだった。
「俺が見てもあまりいいものでないことはわかる。姫さんがこっちに向かってるくらいの状態だ。お前、何平然とした顔装ってやがる。本当は胸が苦しいんじゃないのか?」
 自分の状態を言い当てられ、私は口を噤んだ。
「病室に戻れ」
「先生っ」
 また、ツキン、と心臓に痛みが走った。
「運んでやるからおとなしくしてろ」
 私は軽々と抱え上げられ病室へ戻された。