キャンバス生地のトートバッグから取り出したものはお守りだった。
「初詣のとき、翠葉の健康をみんなで祈ってくれたらしい」
 手渡されたお守りを両手で持ってじっと見つめる。
 白地の布に金糸の装飾がしてあり、オレンジの文字で神社の名前と「病気平癒」と書かれていた。
「……嬉しい。あとでみんなにメール送る」
「そうだな」
「……蒼兄」
「ん?」
「……もう、大丈夫だと思う。もう――休み明けの学校も、教室のドアも怖くないと思う」
 蒼兄は一瞬驚いた顔をして、次の瞬間にはとても柔らかい表情へと変わり、私が大好きな蒼兄の笑顔を見ることができた。

 術後七日目にしてようやく微熱といえる体温になったものの、今度は生理が始まる。
 早くリハビリを開始したいのに思うようにスケジュールを組めない。
 焦りを感じ始めた九日目――。
 一月七日に予期せぬ訪問客が訪れた。