年が明け、「新年なんだ」と意識はするものの、だからといって何が変わるわけでもなく……。
 一般病棟ほど無機質さを感じる病室ではない。けれども、絵画や目を瞠るような調度品が揃う部屋であっても病院の一室であり、病室であることに変わりはない。
 身体中に取り付けられた管は術後四日目にほとんどが外された。けれど、三十八度台の熱が続いていることから面会は家族のみとされ、その家族ですら制限時間が設けられたまま。
 そんな中、立派な花器にいけられたお花を蒼兄が持ってきてくれた。
 誰から、と言われなくてもわかる。桃華さんだ。
 花材は松に千両、朱色のアマリリスと黄色い葉牡丹。季節感はもちろんのこと、色味があたたかくて優しい。
「桃華さんは元気?」
「元気。……ただ、翠葉のことを心配してる」
「そう……」