「まぁ、新年の挨拶くらいするべきだったかもしれないけど、そんなの後日でもいいし、タイムリミットつきの面会時間をフルに使えたほうがいいでしょ」
「……ありがとうございます」
「当然の配慮。お礼を言われるようなことじゃない」
「でも、本当なら面会できるのは明日――今日って言われていたし……」
「たかだか数分早かっただけのこと。だから問題ない」
「……ありがとうございます」
 どんなふうに説明されても、「ありがとうございます」以外の言葉は思いつかなかった。
「ほら、病人はとっとと寝るっ」
 言うとすぐに私がいる場所の照明を消されてしまう。
「ゆっくり休んで回復に努めなさい。熱が高いままじゃリハビリは始められない」
「はい」
 答えはしたけれど、周りが暗くなっても気分は高揚したままで、すぐに寝付くことはできなかった。