「……とはいえ、あまりめでたい状況でもないわね。できれば、今年は病院や保健室以外でよろしくしたいものだわ」
「できることなら私もそうしたいです……。ところで、先生?」
「ん?」
「どうして両親と話さなかったんですか?」
 問いかけているのは私なのに、どうしたことか湊先生も不思議そうな顔をする。
「とくに何を話す必要もなかったからだけど……」
「どういう意味ですか?」
「術後の経過は御園生家に定時連絡を入れてるって、誰からも聞いてないの?」
 そんな話は聞いていない。
 フルフルと首を振ると、「あらそう」と納得したようだった。
「……ま、定時連絡をしていても心配なんでしょうね。碧さんと零樹さんは連日病院にいらして容態を聞いていたわ」
 それなら確かに病状や術後経過を話す必要はなかっただろう。