光のもとでⅠ

 夕方になってようやく流動食を口にすることができた。
 出されたものは、具が入っていないとろみのあるスープ。ティースプーン一匙分を口に入れてもらうと、出汁の香りと僅かな塩気を感じた。スープの正体は重湯。
 器に入っている分量は一カップないくらいだけれど、私が飲むことができたのは半分にも満たなかった。
 九時になるば消灯。
 病院ではこれが普通で今日も変わることはない。ただ、ベッドが置かれている部屋の向こう側、ソファセットがあるスペースの照明だけは点いていて、そこに湊先生がいてくれる。
 数時間眠り意識が浮上する。と、
「おはよう」
 空耳だと思った。だって、お父さんの声がするわけがない。面会できるのは明日なのだから。
「あれ? 起きない? なんか起きそうなバイタルだったんだけど……」
 加えて唯兄の声。私、夢でも見てるのかな。