手術翌日――。
 寝不足を感じつつベッドの機能に感心する。床ずれ防止なのか、数十秒おきにベッドが陥没したり戻ったりするのだ。
 実のところ、これが気になってとてもではないけれど眠れなかった。寝ている面が変化するのだから当然だと思う。けれど、意識がない患者さんにとってはありがたい機能なのだろう。
 そうは思いつつも、やっぱりこの環境では眠れる気がしない。
 一晩で根を上げた私は夜が明ける前に栞さんにお願いした。
 栞さんは声を発することができないことを想定して、筆談用のホワイトボードを持ってきてくれていたのだ。それに、ベッドが動くので眠れない旨を書くと、栞さんはすぐにその機能を止めてくれた。
 今はアナログ手法で数時間おきにクッションを入れて身体の向きを変えてくれている。