手術当日――目が覚めた時間はまだ真っ暗だった。遮光カーテンの向こうには少しの光も感じられない。
 今日は三十日。明日で今年が終わる。明日で終わるんだ……。
「眠れなかった?」
 隣のベッドで寝ていたお母さんに声をかけられた。
「ううん。少し……早くに目が覚めただけ」
「じゃ、起きちゃおう。顔、拭きたいでしょ? ちょっと待ってて。タオル持ってくるから」
 お母さんはベッドから抜け出てバスルームへ向かった。
「カーテン開けるか?」
 ソファセットで寝ていたお父さんに訊かれ、コクリと頷いた。
 窓の外はまだ暗い。窓のガラスは結露で曇っていた。
「雨は降ってないみたいだな」
 言いながらお父さんがベッドまで来ると、ちょうどお母さんが濡れタオルを持って戻ってきたところだった。