唯兄と別れ、御崎さんにエスコートされてレストランへ向かう。
 ステーションから伸びる回廊はどこも閉鎖されていた。ガラス戸が閉じられ、その前には黒いスーツを着た警備員と思しき人たちが立っている。
「少々移動距離が長くなりますが、人目を避けるために一度地下へ下ります」
 ビューティーサロンとクロークの間にあるスタッフルームから地下に下りると、場の雰囲気が一変した。
 時に大声が飛び交い、会場からの通信を受けながら忙しく歩く人が多い。ガラガラ、と大きな音を立てて壁が迫ってきたかと思えば、料理を乗せた業務用の保温カートだった。
「ステーションからレストランへ伸びる通路はこのようなカートが多数行き来しますので迂回いたします」
 先日涼先生と歩いた地下回廊を進み、レストランの真下までくると見覚えのあるエレベーターに乗り込んだ。