「まずは規則に則って満場一致を確認してからね」
 そう答えたのは篠宮先生だった。
「それでは、表決を取る前に生徒会女子メンバーが会場を一周してまいりますので、今しばらくお時間をいただきます」
 そう桃華さんが口にした途端にメンバーが立ち上がる。
「翠のエスコートは俺」
 と、司先輩に右手を差し出された。
 周りを見回すと、女の子にはエスコート役の人がついていた。
 荒川先輩には春日先輩、里見先輩には加納先輩、桃華さんには海斗くんがついている。
 司先輩に催促され左手を預けると、そのままゆっくりと立ち上がった。
 誘導されるままに昇降機の上に立つ。
「じゃ、降ろすよ」
 美都先輩の声がかかり、床がわずかに振動しだした。
 慣れない私はあたふたしてしまう。
 けれども、
「大丈夫だから」
 と、預けている左手に力をこめられ、変らず無表情な司先輩の顔を見ると少し落ち着くことができた。