「今日のドレスや靴は静さんからの贈り物なの」
「俺らの小物もそう」
「俺、オーナーにこんな扱いされたらどんだけ奉仕しなくちゃいけないのか末恐ろしくて考えたくないんだけど……」
 蒼兄たちと話して少し気がほぐれた。けれど、周りからは容赦なく視線が飛んでくる。気にするな、と言われても無理なくらい。
「さすがにこれは痛いよな」
 蒼兄が苦笑して見せた。
「仕方ないよ」
 あっけらかんと答えたのは唯兄。
「この場で藤色を身につけてるってことは、現会長もしくは次期会長のお気に入りってハンコ押されたも同然」
 喉から手が出るほどに羨まれる品だと言いながら、そんなたいそうなものをコンコンと指ではじいて見せる。
 そして、突如ぎゅっと抱きしめられた。