「たくさん人はいるけれど、藤色のドレスを着ている人、ネクタイを締めている人はいないでしょう?」
 真白さんに言われ、コクリと頷く。
「昔から、藤色のドレスを着ている未婚女性は藤の精と呼ばれているのよ」
 さっきから何度となく「藤の精」と呼ばれているのにはそんな意味があったのか、と思いながら、残りの階段を上がり会場への道を進んだ。