「そうですね……。強いて言うならば、自分が蚊帳の外だったことに対して多少は憤慨しているかもしれません」
「蚊帳の外、ですか?」
「えぇ。本来、湊と静くんの結婚は外部に漏れる類の情報ではないでしょう? 漏れたのだとしたら、それは情報操作である可能性が高い」
「なぜそんなことを……?」
「……さぁ、どうしてでしょうね」
 言いながら、涼さんの顔がこちらを向く。
 私の左手は自然と胸に移動した。
 涼先生だとわかっているのに飛び跳ねるこの心臓をどうにかしてほしい。
「痛みますか?」
「いえ……」
 色々と違います、と顔を背けたくなる。