「静くんの指示で、午後、もしくは夕方からの招待状をお持ちの方にはお越しいただいても私有地入り口でお引取り願っている旨が通達されたようです。すでにパレスにいらっしゃった方でも時間になるまでは会場入りすることはできず、会長と静くん、湊とは面会できない手はずを整えたのだとか」
「頼もしいですね」
「いえ、もう少し早くに対処できたのではないかと思っておりますが……」
「あら、花婿さんが相手だからですか? 少々手厳しい気がいたします」
「そうでしょうか?」
「えぇ」
 会話を聞きつつ思う。真白さんと涼先生の会話はいつもこんな感じなのかな、と。丁寧に言葉を返すやり取りがとても新鮮に感じる。けれど、よそよそしいわけでも他人行儀なわけでもなく、そこにはきちんと信頼関係があることが感じ取れた。