ツカサは……ある程度私の反応を予測して動いていたのだろう。私が動揺するのも、静さんが退席を許さないのもわかっていて、それでも私に選ぶ自由を残すために席を立った。
 どこまでもわかりづらい優しさを持つ人……。
「みんなにお礼言いたいのに、みんなに言うのは難しいね」
「確かに……。だから、首謀者のふたりに伝えられたらいいんじゃないかな?」
 蒼兄に言われて、声には出さずに頷いた。たぶん、声に出したら涙声だったと思う。
「さ、ティータイムの種明かしもしたことだし、翠葉はもう寝な」
「ありがとう……。おやすみなさい」
 朗元さんと話さなくてはいけないという課題は残っているものの、とても穏やかな気持ちで眠りにつくことができた。