「海斗くんの声に遮られたのも、楓先輩にダメ押しされたのも本当なんだけど、何よりも栞さんの言葉に負けたっていうか……」
 言いながらこちらを向いていた身体をうつ伏せに変える。
「でもさ、それを行く前の翠葉に言うわけにはいかなくて、唯に突っ込まれたとき何も返せないでいたら楓先輩がフォローしてくれた……」
「そうだったのね……」
 きっと、あの場にいたみんながそのことを知っていたのだろう。そのうえで、ツカサは席を外そうとした。
 静さんは全部わかっていた気がする。ティータイムの話が出て、それに蒼兄がどう反応するのか、誰がどうフォローするのか。そして――私が来るのか来ないのか、ツカサがどう動くのか。何もかもわかっていた気がする。