「オーナーの結婚式ともなれば手の空いてるスタッフは総出でしょうよ」
唯兄に言われて納得する。
スタッフに階段の両脇へ並ぶように誘導されたものの、階段を下りることに躊躇する。
平坦な場所は問題なく歩けるようになったけれど、さすがに階段ともなると話は別……。
「翠葉、手」
蒼兄の手をありがたく借りる。けれども――。
「唯兄……バッグ、持ってもらってもいい?」
蒼兄の手だけでは不安で手すりを掴みたかった。でも、バッグを持っていては無理な話だ。
「うん。じゃ、バッグとリィの右手は俺が引き受けましょう?」
「あ……ごめんなさい。右手は手すりを掴みたい、です……」
「ナンデスッテ? 俺じゃ頼りないってこと?」
「そうじゃなくて――動かないものに掴まりたいっていうか……」
「なるほど。ま、いいや。バッグは預かる。俺、リィの前歩くから転んだら俺の上に降ってきてね? できれば転ぶ前には前置きよろしく」
いつになく饒舌な唯兄は、笑いながら私の前を歩き始めた。
唯兄に言われて納得する。
スタッフに階段の両脇へ並ぶように誘導されたものの、階段を下りることに躊躇する。
平坦な場所は問題なく歩けるようになったけれど、さすがに階段ともなると話は別……。
「翠葉、手」
蒼兄の手をありがたく借りる。けれども――。
「唯兄……バッグ、持ってもらってもいい?」
蒼兄の手だけでは不安で手すりを掴みたかった。でも、バッグを持っていては無理な話だ。
「うん。じゃ、バッグとリィの右手は俺が引き受けましょう?」
「あ……ごめんなさい。右手は手すりを掴みたい、です……」
「ナンデスッテ? 俺じゃ頼りないってこと?」
「そうじゃなくて――動かないものに掴まりたいっていうか……」
「なるほど。ま、いいや。バッグは預かる。俺、リィの前歩くから転んだら俺の上に降ってきてね? できれば転ぶ前には前置きよろしく」
いつになく饒舌な唯兄は、笑いながら私の前を歩き始めた。


