それまで以上に顔が熱くなる。これ以上熱くなったら溶けてしまうかもしれないと思うほどに。
 ツカサから視線は剥がせたものの、顔に当てた手を離せなくなった。
 なんでどうして――似たような髪型なら佐野くんだってよくしている。海斗くんだって空太くんだって、学校では珍しくもなんともない。ツカサがしたっておかしくないじゃない……。
 違う……おかしくないどころか似合う。似合いすぎるから困るのだ。
「リィー? 絶賛赤面中のとこ悪いんだけど、そろそろ司祭と新郎の入場だよ」
 唯兄の楽しそうな声が降ってきた直後、同様のアナウンスが流れ皆が立ち上がる。
 曲が変わり、パッフェルベルのカノンが流れる中、私は頬を押さえたままテーブルから抜け出た。
 ギィ、と先ほどと同じ音がして、司祭様とライトグレーのタキシードを着た静さんがゆっくりとバージンロードを歩いてきた。
 ふたりが自分の横を通り過ぎ、身体の向きを祭壇側へ向ける。と、まだこちらを向いていたツカサが視界に入った。
 咄嗟に唯兄の顔を見る。唯兄はにんまりと笑い、
「どうしたのかなぁ?」
 わざとらしく訊いてくる。