「海斗には学習能力ってものがないのかしら? 湊さんと呼べって言ってるでしょ!?」
「だってさぁー、今さらだよー」
 いつもの光景に心が和む。
 ウェディングドレスに身を包んだ湊先生とタキシード姿の静さんが先頭を歩き、その後ろに親族が続く。私たち御園生家の後ろには澤村さんと園田さんがいた。
 ステーションから伸びているのはガラスの回廊ではなく石の回廊。
 通路は四辺どこもが石造りとなっており、天井にはスポットライトが埋め込まれている。
 雰囲気的には古城の地下道。
 左右の壁は石と石の間に隙間があるけど、足元の石畳はドレスが引っかかったりヒールが挟まらないような加工がされていた。
 しばらく歩くと天井が天窓へ変わり、両脇の壁にはアイビーが垂れ下がる。
 まるで地中から地上へ向かって歩いているみたい。実際に、回廊は緩やかな傾斜を登っているような感じがした。