光のもとでⅠ

 下を向いたからといってツカサの存在がなくなるわけではない。指先に自分のものではないぬくもりを感じる。
 視覚情報をカットすると、そこに使われるはずだった力がほかの神経に供給されてしまうのだろうか。
 だから、必要以上にツカサの体温を感じて身体が熱く感じるのか……。
「息、上がってるけど……」
「え? あ、それはたぶん心臓のせいで……」
 口にしてまた後悔。これではまるで不整脈か何かの症状と言っているみたい。
「不整脈?」
 足を止め、脈を取られる。
「ち、違うの。心臓は心臓でもそうじゃないっていうか……」
 ちゃんとした説明ができずに歯切れ悪く言葉が途切れた。
 きっと、意味がわからないって顔をしていると思う。呆れてるか苛立ってるかのどちらか。