「翠葉は司くんに送ってもらいなさい」
「え?」
振り返るとツカサが立っていた。
「司くん、翠葉をお願いできるかしら?」
「はい」
低い声がすぐ近くから発せられて、心臓がドクドク鳴り出す。
戸惑うのは私ばかりでお母さんは先に行ってしまうし、昇さんには「早く行ったほうがいいぞ」と笑って言われる。
「秋兄の手は借りたのに俺の手は借りられないとか言うつもり?」
そんなこと言わない。言わないけど――。
声だけでもドキドキするのに、そんな笑顔を向けられると困る。
嫌みプラス無表情にはだいぶ慣れたけど、そういう笑顔は知り合った始めの頃にしか見なかったから――ものすごく免疫が足りていない感じ。
おずおずと右手を預け、私たちは軽く会釈してレストランを出た。
「え?」
振り返るとツカサが立っていた。
「司くん、翠葉をお願いできるかしら?」
「はい」
低い声がすぐ近くから発せられて、心臓がドクドク鳴り出す。
戸惑うのは私ばかりでお母さんは先に行ってしまうし、昇さんには「早く行ったほうがいいぞ」と笑って言われる。
「秋兄の手は借りたのに俺の手は借りられないとか言うつもり?」
そんなこと言わない。言わないけど――。
声だけでもドキドキするのに、そんな笑顔を向けられると困る。
嫌みプラス無表情にはだいぶ慣れたけど、そういう笑顔は知り合った始めの頃にしか見なかったから――ものすごく免疫が足りていない感じ。
おずおずと右手を預け、私たちは軽く会釈してレストランを出た。


