中央には色鮮やかな数種のフルーツが透明のゼリーに閉じ込められており、スタンドの円周には小さな花が飾られている。
 五枚の花びらが星を彷彿とさせるブルスター。小さな葉の斑入りアイビーと名前の知らない小さな赤い実。
 あまりのかわいさに見惚れていると、秋斗さんに声をかけられた。
「翠葉ちゃんたちのテーブルにも同じものがあるよ」
「あ、わ……すみません」
「どうして謝るの? 足を止めていたわけでもないのに」
「え……?」
 言われてみれば立ち止まって見ていたわけではない。
「俺はこのままでもいいんだけどね」
 手に少し力をこめられ、今もエスコートされていることに気づく。
 あまりにも自然に誘導してくれるから、手を預けていたことをすっかり忘れていた。