光のもとでⅠ

 歩くコツは知りたいけれど……。
 指先を掴まれたまま立ち止まっていると、
「……行きは秋兄に譲る」
「わかった。じゃ、帰りは司で」
「え? あのっ……」
「異論反論は受け付けないから」
 言うと、ツカサは先に行ってしまった。
 背が遠ざかり、カーブの先に見えなくなる。
「さて、そろそろ意識をこっちに戻してもらえる?」
 秋斗さんに顔を覗き込まれてはっとした。
「まずはガラスに映る自分の姿を見て? あ、正面じゃなくて体の側面が見えるように立とうか」
 ガラスには薄っすらと自分の姿が映っていた。これが夜なら立派に鏡の役割を果たしたことだろう。