頭を下げ絨毯の一点を見つめていると、クスクスと笑い声が聞こえてくる。
「司、俺たち『付き合ってください』って手出して、思い切り断られてる状況に見えない?」
「あぁ……。でも、話の内容は全然違うから」
「だから光景が似てるって話」
「……錯覚起こして疑似体験してる気分になるからその手の発言禁止」
「了解」
 秋斗さんが楽しそうに話すのに対し、ツカサは面白くなさそうに話す。
 恐る恐る頭を上げると、ツカサの笑顔に捕まった。
「会って早々、なんで謝られたのかが理解できないんだけど」
 言葉ひとつひとつはいつものツカサなのに表情だけが異なる。
 どうしてか笑顔なのだ。怖いくらいきれいで思わず見惚れてしまうほどに――。