「今日は仕方ないっしょ」
「うん、でも――。……唯兄は秋斗さんに頼まれて私を連れて行こうと思っていたの?」
「まぁ、そんなとこ。けど、ホントにキレイなツリーだから見せたいっていうのもあったけどね」
「そう……」
「今は面倒なこと考えないほうがいいんじゃないの? 胃が痛くなりそうなことは極力避けようよ」
「うーん……」
 歯切れ悪い返事をして蹲るように膝を抱える。
 唯兄はドライヤーを再開し、五分ほどすると髪の毛が完全に乾いた。
 水質がいいのかシャンプーコンディショナーがいいのか、髪の手触りがツルツルと心地いい。
「ありがとう」
「うん。歯ぁ磨いて薬飲んだらロフト上がっちゃいな」
「そうする……」
 言われたとおり、歯を磨いて薬を飲み、お父さんにおやすみを言ってからロフトへ上がった。