光のもとでⅠ

 静かな部屋に昇さんの確認の言葉とそれに答える私の声。時々ステンレストレイにカチャ、とものを置く音がするのみ。そんな中、ギュムッ、パシンッ――。
 治療はいつもこの音で終わる。
 それは、昇さんがゴム手袋を外す音。
「じゃ、いつもと同じ。二十分から三十分はゆっくり休めよ」
「はい」
「ありがとうございます」
 お母さんはお礼の言葉を口にしたけど、私は申し訳ないという気持ちが強くて、「すみません」と言いそうになる。
 声に出しそうになって、寸前で踏みとどまる。
「翠葉ちゃん。痛くなったら我慢しないでね? 薬も注射器も消毒薬も、何もかも多めに持ってきてるから」
 まるで、すべて見透かしたような栞さんの言葉。