震える手で携帯を返すと、
「眠れないならあたたかいお茶でも飲もう」
と、湊先生の大きな手で右手を包まれた。
先生を見上げると、労わるような、どこか困惑した顔が私を見下ろしていた。
「たぶんそのオルゴール、若槻がずっと探しているものだと思う。それを手にした若槻がどんな行動に出るのかは保証ができない。でも、目の前に翠葉が入ればそう突飛な行動は取れないはず。だから、翠葉には若槻のストッパーになってほしい」
そう言ってカーテンから出ていった。
何度も手をさすった。何度も深呼吸を繰り返した。
そうしている間もずっと、鍵と唯兄、お姉さんと鳴らないオルゴールが頭をチラつく。
向き合わないとだめだと思った。
カーテンの向こうではお湯の沸く音がし始めている。
もう少し、きちんと話を聞こう。
湊先生が知っていること、話してもらえることを聞こう。
そうしないと、迎えに来てくれる唯兄と会っただけで動揺してしまいそう――。
ゆっくりと起きてカーテンから出る。
「先生……」
振り返った先生に、
「まぁ、座んなさい」
と、言われて椅子に掛けた。
「眠れないならあたたかいお茶でも飲もう」
と、湊先生の大きな手で右手を包まれた。
先生を見上げると、労わるような、どこか困惑した顔が私を見下ろしていた。
「たぶんそのオルゴール、若槻がずっと探しているものだと思う。それを手にした若槻がどんな行動に出るのかは保証ができない。でも、目の前に翠葉が入ればそう突飛な行動は取れないはず。だから、翠葉には若槻のストッパーになってほしい」
そう言ってカーテンから出ていった。
何度も手をさすった。何度も深呼吸を繰り返した。
そうしている間もずっと、鍵と唯兄、お姉さんと鳴らないオルゴールが頭をチラつく。
向き合わないとだめだと思った。
カーテンの向こうではお湯の沸く音がし始めている。
もう少し、きちんと話を聞こう。
湊先生が知っていること、話してもらえることを聞こう。
そうしないと、迎えに来てくれる唯兄と会っただけで動揺してしまいそう――。
ゆっくりと起きてカーテンから出る。
「先生……」
振り返った先生に、
「まぁ、座んなさい」
と、言われて椅子に掛けた。


